太田邸の歴史と伝統
HISTORY
太田邸の歴史
太田邸はむかし因幡国と呼ばれていた、鳥取県東部の山あいの町八頭(やず)にあります。土地の名家であった太田家は、広い山林や田畑を所有し、養蚕や家畜の飼育も手がけ、地元産業の中心的存在でもありました。明治・大正・昭和にわたって三代の当主が村長を務め、大正期には、敷地の一角に地域第一号の郵便局を開設。初代局長に就任しました。
戦後75年、多くの歴史的建造物同様、太田邸も歴史に翻弄されました。現在は、古民家「太田邸」、cafe「ひとつ山」として営業。主屋・門長屋・離れが国登録有形文化財、日本遺産として認定されています。
文化財 | 主屋・門長屋・離れが国登録有形文化財、全体として日本遺産 |
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家の歴史 | 初代が江戸時代末期に分家。三代目甚四郎が中興、初代村長を務め、その後親子三代にわたる。 地主経営、山林経営。当地初代郵便局。 |
建物の歴史 | 一番古い建物:明治17年築 主屋:明治30年築 離れ:昭和7~8年築 ※平成29年に構造・家具は当時のまま補修 |
広さ | 敷地面積700坪 |
伝統を感じる
TRADITION

郵便局
大正末期に地域に初めてできた郵便局は、正面の表門に続く門長屋の一角を改造。そのため、当時洋風建築の多かった他局とは異なり和風の外観でした。現在はcafe「ひとつ山」として営業。入口にあるマークや一枚板のカウンターが当時を偲ばせます。





主屋
明治期に建てられた主屋。違い棚はしゃれた3段の拭き漆、天袋の引手は可愛い千鳥。菱型をモチーフにした上品な障子と鹿・楓・鳥居・春日燈籠などの春日大社を連想させる透かし欄間。拭漆で仕上げた家具も見どころです。「店」と呼ばれた歴代当主の仕事場は、現在も帳場として使用しています。




離れ
昭和初期に曹洞宗管長を迎えるために建てられました。母屋とは違う趣で、素木の良材を多用したすっきりとしながらも上質な建物です。鬼瓦には「隅入り角に桔梗」の家紋が入り、因幡地方に多く見られる巴瓦を突き出した形をしています。
